はじめに

偏頭痛は、脳の血管が拡張することで起こります。偏頭痛の治療は薬物療法が一般的で、脳の血管の拡張を抑えたり、痛みの原因物質を抑えたりする薬を使用します。このサイトでは、偏頭痛のメカニズム、原因、種類、症状、治療法など、あらゆる情報をまとめてわかりやすくご紹介しています。このサイトを読むだけで、偏頭痛の全体像を把握し、どのような方法で偏頭痛を改善できるのかを理解していただけるようになっています。

頭痛はなぜ起こる?

頭痛は様々なメカニズムで引き起こされますが、主に血流の低下や血液中の物質の異常が原因で起こると考えられています。簡単に言えば、ストレスによって脳の血管に異常が起こり、それが原因で頭痛が引き起こされると考えられています。

Sakai、Igarashiの調査報告によると、日本における偏頭痛の有病率は6%で、疑診例も含むと8.4%になるとみなされています。つまり、日本の人口を1.3億人とすると、1000万人以上の人が偏頭痛を発症していることになります。

頭痛のメカニズムははっきりとは解明されていませんが、古典的な仮説として「血管説」と「セロトニン説」があります。現在では「三叉神経血管説」が最も有力だとされています。三叉神経とは、顔部が受けた温冷感や痛みを脳に伝えるために、頭部に広く分布している神経のことです。この神経が刺激を受けると、脳神経細胞の間で情報を伝達するためにドーパミン、セロトニン、アドレナリンなどが血管に放出されます。これらの物質は血管を拡張する作用があるので炎症が起こり、炎症反応によって次々に血管が拡張していきます。その結果、頭痛が起こるとされています。

関連リンク:頭痛のメカニズム・仕組み

偏頭痛が起こる場所

一般的に、偏頭痛はこめかみや目の奥に起こりやすいとされています。偏頭痛が起こると、こめかみや目の奥にズキズキと脈打つような痛みが、右か左のどちらかに現れることが多いです。もちろん両方に現れることもあります。吐き気や嘔吐を伴うことも多く、月に1~2回の頻度で起こり、女性の場合は生理前や生理中などに起こることもあります。

前兆として、目がチカチカしてまぶしく感じる、肩こり、全身倦怠感などが挙げられます。しかし、必ずそれらの前兆が現れる訳ではありません。通常はこれらの前兆が20~30分続いた後に偏頭痛が発生します。

関連リンク:偏頭痛や他の頭痛が起こる場所

偏頭痛になりやすい時期

1年の中で、偏頭痛が起こりやすい時期というのがあります。偏頭痛は、血管が拡張して周りの神経を圧迫することで起こるとされているので、梅雨、生理中、妊娠中、運動後、二日酔いなど、血管の拡張を促しやすい時には偏頭痛が起こりやすくなります。

梅雨の期間は低気圧になる日が多いので、身体は多くの血液を循環させるために血管を拡張させます。すると神経が圧迫されて、偏頭痛も起こりやすくなります。

妊娠中は女性ホルモンが盛んに分泌されるので、ホルモンバランスが崩れてしまい、自律神経が乱れやすくなります。すると、脳の血管が拡張して偏頭痛が起こる場合があります。

関連リンク:偏頭痛や他の頭痛になりやすい時期

偏頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛、あなたの頭痛はどんな種類?

頭痛は一次性頭痛と二次性頭痛の2つに分かれています。一次性頭痛は機能性頭痛とも呼ばれ、明らかな原因がない頭痛のことを指します。その中で代表的なものは偏頭痛で、男性よりも女性にみられることが多く、脈拍に合わせてズキズキと痛むのが特徴です。

偏頭痛は血管が拡張し、周りの神経が刺激されることで痛みが生じますが、頭の片側だけが痛むことが多く、身体を動かすと痛みが強くなる傾向があります。偏頭痛は遺伝による影響が強いので、家族にも偏頭痛を持っている人がいることもあります。

血管が拡張する原因ははっきりとは解明されていませんが、生活習慣の乱れ、女性ホルモンによる影響、アルコールの摂取、過度な睡眠による過度なリラックスなどの誘因が挙げられます。

偏頭痛以外にも、緊張型頭痛や群発頭痛などの一次性頭痛があり、さらに症候性頭痛や薬物乱用頭痛などの二次性頭痛もあります。

関連リンク:頭痛の種類とそれぞれの原因・誘因

激しい痛みをもたらす群発頭痛

激しい頭痛が起きた場合、一次性頭痛の偏頭痛、あるいは群発頭痛である可能性が疑われます。群発頭痛も偏頭痛と同じく、血管の拡張により周辺の神経が圧迫されて痛みが生じますが、痛みの強さや症状が現れる時期、症状の持続時間などから、偏頭痛と群発頭痛を区別することができます。

群発頭痛の場合は、痛みの他に目が赤くなる、涙、鼻水、鼻づまり、発汗などの症状も起こることがあります。また、症状が現れると1~2カ月間、毎日続くことが特徴です。女性よりも男性の方が群発頭痛になりやすく、その比率は男性8に対して女性2となっています。

基本的に、転げ回るような強い痛みを感じる場合は、群発頭痛の可能性が高いとされています。また、その症状が毎日続く場合も、群発頭痛の可能性が強く疑われます。痛む部位が群発頭痛と偏頭痛では共通しているので、それだけで判断することは困難ですが、複数の部位が痛む場合は、群発頭痛の可能性が高いと言えます。

関連リンク:激しい頭痛を解消したい!まずは偏頭痛と群発頭痛を知る

肩こり・首こりで起こる緊張型頭痛

肩こり、首こりで頭痛が起こった場合は、一次性頭痛である緊張型頭痛の疑いがあります。肩こりや首こりによって筋肉が緊張すると、筋肉内の血管が収縮して血流が悪くなります。それに伴って脳の血流も悪くなり、脳の血管内に老廃物が発生することによって頭痛が起こります。

緊張型頭痛の特徴は、頭全体が何かで締め付けられたような痛みが発生することです。しかし、動けないほどの痛みになることは少なく、動いても痛みは強くなりません。

緊張型頭痛は血行不良が原因となって起こるため、心身のストレス、運動不足、悪い姿勢など、血行を悪くする要因を排除することで、予防が可能です。

関連リンク:肩こり・首こりで起こる頭痛は偏頭痛か緊張型頭痛か?

偏頭痛の対策をしましょう!

世界保健機関(WHO)によると、偏頭痛は健康寿命が短くなる病気の中で第19位を占めています。したがって、偏頭痛であることがわかったら、そのまま放置せずに一日も早く適切な治療を行うことが大切です。

健康寿命を延ばすために、偏頭痛の治療も大切ですが、予防も非常に重要です。偏頭痛は拡張した血管が周辺神経を圧迫することで起こるので、血管拡張を防ぐ対策をとれば、偏頭痛は予防できることになります。

偏頭痛の治療

偏頭痛の代表的な治療方法は、薬物療法です。薬物療法の中には、頓挫療法(急性期治療)と予防療法があります。頓挫療法(急性期治療)は、頭痛が発生したときにできるだけ早く症状を鎮めるための治療法です。軽度~中等度場合は、非ステロイド系抗炎症薬の中でもアスピリンやナプロキセンなどが選択されます。中等度~重度の場合は、通常はトリプタン製剤が使用されますが、軽度~中等度であっても、過去に非ステロイド系抗炎症薬で効果がみられかった場合は、トリプタン製剤を使用することがあります。

予防療法の目的は完全に頭痛をなくすのではなく、発生する回数を半分以下に減らし、頭痛の症状を緩和することです。頓挫療法だけでは十分に活動性を改善できない場合や、偏頭痛の発作が月に2回以上起こる場合には、予防療法が推奨されます。

薬物療法の他にも、行動療法や理学療法などの非薬物療法、誘発因子の除去、ツボ押しなど様々な対処法があります。まずは病院で診察を受けて医師に相談し、自分に合った治療法を知ることから始めましょう。

関連リンク:偏頭痛の治療と対策

妊娠中は頭痛薬を飲んでも大丈夫?
妊娠中に偏頭痛が起こってしまったとしても、できるだけ薬を飲まないことが大切です。なぜなら妊娠中は、母体が摂取した薬が胎盤を通り抜けて胎児に送られてしまうことがあるからです。薬の種類によっては、発達障害や奇形などが起こってしまう可能性もあります。特にアスピリン、イブプロフェン、ロキソニンなど、胎児に悪影響を及ぼす可能性がある頭痛薬は避けた方が安全です。どうしても必要な場合は、医師の指示に従って慎重に服用するようにしましょう。

関連リンク:特集:女性の頭痛

子供に頭痛薬を使用する場合には要注意
子供に対して、大人と同じように頭痛薬を使用することは厳禁です。量はもちろんのこと、子供には使用できない薬もあるので注意しましょう。子供が服用してはいけない成分は、アスピリンです。アスピリンは副作用が強く、激しい嘔吐や意識障害を起こす恐れがあり、場合によっては死に至るケースもあるので、子供には絶対に使用してはいけません。

子供の頭痛には、一般的にアセトアミノフェンまたはイブプロフェンを含む単一成分の薬が使用されます。それ以外の成分を含む複合処方のものもありますが、基本的には単一処方の薬が推奨されています。

子供の頭痛に関しては、症状が強く現れている場合にのみ服用が推奨されています。やむを得ず使用する場合には、子供の服用量をよく確認した上で、慎重に使用するようにしましょう。

関連リンク:特集:子供の頭痛

病院での偏頭痛の治療

偏頭痛の原因を特定できなかったり、治療を始めても改善がない場合は、病院で治療を受けることをおすすめします。頭痛外来、神経内科、脳神経外科などで偏頭痛の治療が受けられます。

通院には一定の費用と時間がかかりますが、医師の指示に従って適切な薬を選び、適切な量を服用すれば、薬物乱用頭痛になるリスクもなくすことができます。また、病院で受診することによって頭痛の種類を特定することができ、誤った自己診断をしてしまうことも防げます。病院で偏頭痛と診断されると、市販薬よりも効果の高い処方薬を入手できるというメリットもあります。

関連リンク:病院での偏頭痛の治療

偏頭痛の予防

何らかの原因で血管が拡張し、神経を圧迫することで偏頭痛が発生します。血管は様々な原因で拡張しますが、いずれにしても予防薬や生活習慣の改善によって、偏頭痛を緩和させることが可能です。

カルシウム拮抗薬やベータ遮断薬などの偏頭痛予防薬は、血管の拡張を抑えたり、あらかじめ血管を拡張させる働きがあります。したがって、血管の拡張による頭痛を予防することができます。

予防薬の使用だけではなく、生活習慣を改善することも大切です。睡眠の質を確保して、ストレスが溜まらないような生活習慣を身に着けることや、可能であればパソコンの長時間使用を避けることなどは、偏頭痛の予防・改善につながります。

関連リンク:偏頭痛の予防

偏頭痛に効く食べ物

薬だけではなく、食べ物や飲み物の中にも、偏頭痛の改善に役立つ成分を含んでいるものがあります。例えば、納豆、豆腐、バナナ、ヨーグルトなど、トリプトファンを含む食べ物を摂取すると、体内のセロトニンが増加します。セロトニンには血管の拡張と収縮を調節する作用があるので、血管の過剰な拡張を防ぐことができ、偏頭痛の改善効果が期待できます。

また、わかめ、ひじき、あさり、しらすなどのマグネシウムを含む食べ物を摂取すると、拡張した血管を収縮させ、神経の興奮も抑えられるので、偏頭痛の改善に役立ちます。マグネシウムは偏頭痛を改善するとされるビタミンB群をサポートする働きもあるので、積極的に摂ることをおすすめします。

トリプトファンとマグネシウムの他に、カフェインにも偏頭痛を改善する働きがあります。しかし、摂り過ぎると副作用が現れる可能性があるので、カフェインの過剰摂取には十分気をつけなければなりません。

ただし、食事だけで偏頭痛を改善しようとはせずに、病院で的確な治療を受けるようにしましょう。治療と並行して、偏頭痛に良いとされる食べ物や飲み物も積極的に摂ると大変効果的です。

関連リンク:偏頭痛に効く食べ物と飲み物

偏頭痛のお薬

偏頭痛は主に薬物療法によって治療を行いますが、薬として、解熱鎮痛薬や血管の拡張を抑える薬などが使用されます。偏頭痛の治療に使用できる薬には、薬局で購入できる一般医薬品(市販薬)と、医師から処方される医療用医薬品(処方薬)の2種類がああります。

自己判断で間違ったケアをしてしまうと、頭痛の悪化や副作用の問題を招く恐れがあります。自分に一番向いている薬やその用量を知るためにも、まずは病院で診断を受けることが大切です。その後で、市販薬や通販で買える処方薬でケアを続けることをおすすめします。

関連リンク:偏頭痛の薬の分類

偏頭痛の市販薬
一般医薬品というのはいわゆる市販薬のことで、第1類医薬品や指定第2類医薬品などに分類されています。ロキソニンなどの第1類医薬品は、購入時に薬剤師による説明を受ける必要があります。他の市販薬と比べて、高い効果が期待できるのがメリットです。イブプロフェン、アスピリンなどの指定第2類医薬品は、レジで店員から買い求めることができます。しかし、自分で添付文書を読むことにより、重篤な副作用の有無を確認しなければなりません。使用上の注意をしっかり守って服用しましょう。

関連リンク:偏頭痛の市販薬:分類・成分

偏頭痛の処方薬
医薬用医薬品というのはいわゆる処方薬のことで、病院で医師から診断を受けた後に処方される薬です。処方藥のトリプタン製剤は市販薬より効果が高く、現段階では、偏頭痛発作の第一選択薬になっています。トリプタン製剤は血管の拡張を抑える働きがあるため、偏頭痛に効果的とされています。また、脳の血管への影響が少ないため、副作用が現れにくく、さらに吐き気を抑える作用もあります。

偏頭痛予防薬も処方薬に属しています。月に2回以上偏頭痛の発作が起こる場合や、トリプタン製剤を月に6回以上服用した場合は、病院で医師に診断してもらい、頭痛予防薬の使用を検討しましょう。

関連リンク:偏頭痛の処方薬:分類・成分

偏頭痛の薬「イミグラン」

偏頭痛の代表的な薬であるイミグランは、高い効果が期待できる処方薬で、主成分はトリプタン製剤の一種であるスマトリプタンです。

イミグランは、市販薬のように炎症を鎮めるだけではありません。痛みを感じる物質が放出されるのを抑制し、刺激のシグナルが脳に伝達されるのをブロックする働きもあります。したがって、イミグランは偏頭痛の根本の原因にアプローチする薬だと言えます。今まで市販の鎮痛剤では気休めの効果しか得られなかったという方は、トリプタン系薬剤の使用も検討してみましょう。

現在ではイミグランのジェネリック薬として、スミナットなどが販売されています。成分や効能などもイミグランと同じですが、価格が比較的安価となっています。ジェネリック薬は入手しやすい価格となっており、医療費削減を目指す国からも推奨されています。

関連リンク:特集:偏頭痛の薬ーーイミグラン

頭痛薬の使用においての注意点

頭痛薬を服用する際は、前もって様々な注意点について知っておかなければなりません。薬物乱用頭痛(薬の使い過ぎによって起こる頭痛)、副作用、薬の併用、食べ合わせや飲み合わせなどについてもよく調べておきましょう。

薬の使い過ぎから薬物乱用頭痛になってしまう方も多いので、過剰な服用には十分注意しましょう。万が一薬物乱用頭痛になってしまった場合は、その原因となる薬物の使用をただちに中止し、薬物を中止したことによって起こる反跳頭痛を治療することから始めます。必要であれば、頭痛治療薬の使用をやめて、頭痛予備薬に変更することも検討しましょう。

頭痛薬の服用の際には、あらかじめ副作用についてよく確認することが重要です。薬の添付文書に記載されている注意点をよく読んで、副作用のリスクを認識するとともに、自分に最も適している薬を選ぶようにしましょう。

複数の頭痛薬を併用すると副作用が出やすくなる可能性があるので、副作用に不安を抱えている方は、病院で医師のアドバイスを受けることをおすすめします。

頭痛薬の服用中は飲酒を控え、飲酒した場合は、6時間の間隔を空けてから薬を飲むようにしましょう。アルコールとアセトアミノフェンを同時に大量摂取すると死亡する可能性があるので、十分な注意が必要です。

関連リンク:頭痛薬の使用においての注意点

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