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偏頭痛の処方薬:分類・成分

処方薬は、病院を受診して医師から診断を受けたうえで処方される薬です。偏頭痛そのものを改善・予防する薬や、血圧の低下やうつの改善などにともない、偏頭痛を改善・予防させる薬があります。ここでは、偏頭痛の処方薬について解説します。

トリプタン製剤

トリプタン製剤は、現段階で偏頭痛の治療に使用されている薬の中で主流なものとなっています。現段階では、偏頭痛発作の第一選択薬です。

血管の拡張を抑える作用がありますが、脳の血管の血管への作用が少ないため、副作用が現れにくいといわれています。また、吐き気を抑える作用もあるため、吐き気をともなう偏頭痛に効果的とされています。副作用は、胸や肩の締め付け感などがあります。

トリプタン製剤の主成分はスマトリプタン、ゾルミトリプタン、エレトリプタン、リザトリプタン、ナラトリプタンがあります。

スマトリプタン(商品例:イミグラン、スミナット)
スマトリプタンを含む商品には、イミグランやスミナット(イミグランのジェネリック薬)があります。
スマトリプタンの剤形は一番多くて、錠剤から注射薬、点鼻薬までもあります。
また、注射薬の最高血中濃度到達時間が短くて、投与してから効果が現れるまでの時間は一番速いとみられます。
イミグランについて、詳しくは08「偏頭痛の薬ーーイミグラン」にご参照ください。
ゾルミトリプタン(商品例:ゾーミッグ)
ゾルミトリプタンを含む商品には、ゾーミッグがあります。
ゾルミトリプタンはリザトリプタンと同じく、錠剤のほかに口腔内速溶錠という剤形があります。口腔内速溶錠は口の中で溶けるので、水がなくても飲めます。
しかし、最高血中濃度到達時間に関しては、錠剤の場合は約3時間がかかり、口腔内速溶錠の場合は約2.98時間がかかり、5種類の成分の中で一番長いです。
エレトリプタン(商品例:レルパックス)
エレトリプタンはを含む商品には、レルパックスがあります。
エレトリプタンの剤形は錠剤のみです。
半減期はやや長くて、効果が長く持続できます。
ナラトリプタンと比べ、最高血中濃度到達時間は約1時間で、効果が現れるまでの時間はより短いとされます。
リザトリプタン(商品例:マクサルト)
リザトリプタンを含む商品には、マクサルトがあります。
リザトリプタンはゾルミトリプタンと同じく、錠剤のほかに口腔内速溶錠という剤形があります。口腔内速溶錠は口の中で溶けるので、水がなくても飲めます。
口腔内速溶錠のリザトリプタンは、スマトリプタン注射と比べて効いてくるまでの時間は遅いとみられます。
ナラトリプタン(商品例:アマージ)
ナラトリプタンを含む商品には、アマージがあります。
ナラトリプタンは、ほかの成分と比べて最高血中濃度到達時間がやや長くて、効くまでに時間がかかります。
一方、半減期が約5.05時間もあるので、効く時間は一番長いとされます。


(引用元:慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会 – 慢性頭痛の診療ガイドライン2013

※ 最高血中濃度到達時間・最高血漿中濃度到達時間・・・・・薬の効果が現れるまでにかかる時間
※ 半減期・消失半減期・・・・・薬の成分の血中濃度が半減するまでにかかる時間(長ければ長いほど効果が持続する)

エルゴタミン製剤

歴史ある薬ですが、現在ではトリプタン製剤が第一選択薬となっているため、トリプタン製剤の効果が現れない場合に使用されます。エルゴタミン製剤の商品例としては、クリアミンがあります。症状が現れてある程度の時間が経過すると、薬の効果が現れにくくなるため、できるだけ早く飲むことが大切です。主な副作用は吐き気で、場合によっては吐き気止めと一緒に服用が必要になります。また、長期間に渡って服用を続けると、脳以外の血管も収縮することにより、血行不良にともなう冷え性や手足が冷たくなるレイノー現象が起こりやすくなります。

頭痛予防薬

トリプタン製剤とエルゴタミン製剤は、頭痛が起きたときや頭痛の前兆が現れた際に服用しますが、頭痛予防薬は頭痛そのものの発生を抑えるために服用します。頭痛予防薬は、次のような場合に使用が検討されます。

  • 月に2回以上、発作が起こる
  • トリプタン製剤を月に6回以上服用している
  • 頭痛の前兆が頻回に渡って起こる
  • トリプタン製剤よりも頭痛予防薬を使用した方が安く済む
  • 薬物乱用傾向がある

頭痛予防薬は、主に5種類に分類されています。それぞれは、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、アンギオテンシン変換酵素( ACE )阻害薬・アンギオテンシンⅡ受容体遮断薬( ARB )、抗てんかん薬(バルプロ酸)、抗うつ薬(アミトリプチリン)です。

β遮断薬(プロプラノロールなど)
β遮断薬には、インデラルやプロプラノロールなどがあります。46回以上も試験が行われており、偏頭痛を予防する効果が確実に現れるといわれています。推奨のグレードは最高ランクのAです。β遮断薬は、次のような合併症を持つ人に推奨されています。
  • 高血圧
  • 冠動脈疾患
  • 頻脈性不整脈
逆に、心不全や喘息、抑うつといった状態の患者には使用しない方がよいとされています。なお、インデラルを除くβ遮断薬は、偏頭痛に使用する場合において自費診療となります。
カルシウム拮抗薬
降圧薬として使用されている薬で、偏頭痛予防薬としても使用されています。主な製品はミグシスやテラナスです。カルシウム拮抗薬の成分である塩酸ロメリジンは、保険適用の偏頭痛予防薬で、高い安全性を誇ります。月に2回以上、発作が起こる患者に対して、1日10mg経口投与すると、8週間後には64%の患者に偏頭痛の頻度と程度の改善が期待できます。推奨のグレードはBです。
アンギオテンシン変換酵素( ACE )阻害薬・アンギオテンシンⅡ受容体遮断薬( ARB )
ACE阻害薬とARBは降圧薬の中でも副作用が少ない薬として、広く使用されています。主な製品は、ACE阻害薬がゼストリル、ARBがブロプレスです。
もともと、偏頭痛の治療を目的とはしていませんが、高血圧の治療のためにACE阻害薬を服用した患者に、偏頭痛の頻度や程度の改善がみられたため、現在では偏頭痛の薬としても用いられています。ACE阻害薬の中でも、リシノプリルやエナラプリルに関して、偏頭痛の予防効果について十分なエビデンスが存在します。ARBのカンデサルタンに関しても、偏頭痛の改善に関して有用性が示されているため、偏頭痛と高血圧の両方を発症している場合に積極的に使用されます。推奨のグレードはBです。
抗てんかん薬(バルプロ酸)
月に2回以上、頭痛発作が現れる患者に抗てんかん薬のバルプロ酸(製品名デパケン、セレニカ)を1,000mg経口投与することで、8週間後に頭痛発作の回数を付き平均4.4回から3.2回へと減少させられるといわれています。バルプロ酸には、神経細胞の興奮性を抑える作用があるため、偏頭痛に対する適用が検討されていました。国外では、他の抗てんかん薬も偏頭痛予防薬として適用されています。
抗うつ薬(アミトリプチリン)
抗うつ薬には、セロトニンの代謝を改善させる作用があります。セロトニンの代謝は偏頭痛の発症にも関与しているため、抗うつ薬の服用によって偏頭痛の予防が期待できます。特に、緊張型頭痛をともなう偏頭痛に対して効果的とされています。
抗うつ薬にも様々な種類があり、中でも三環系抗うつ薬のアミトリプチリンは、偏頭痛予防に対して十分なエビデンスが存在します。三環系抗うつ薬が持つ抗コリン作用により、眠気や口の渇きなどの副作用がありますが、少量の服用から始めることで副作用を軽減できるといわれています。三環系抗うつ薬には、トリプタノールなどがあります。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、新しいタイプの抗うつ薬です。三環系抗うつ薬のような副作用が少ないというメリットがあります。しかし、三環系抗うつ薬と比べてエビデンスが十分ではないので、これからエビデンスが蓄積されていくことが期待されています。

まとめ

偏頭痛の治療や予防に用いられる薬には、抗うつ薬や降圧剤などがあります。処方薬は病院を受診しなければ手に入れることができません。医師の指示に従い、自分に合った薬を服用しましょう。

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